天神楽の鳴き声
彰綺さん、もっと時間かかるかな。
雛生はもうすこしぶらぶらすることにして適当に店を覗く。人が多くなってきてよけて歩くのが大変になってきた。
「おーい、そこの女!フラフラしてると盗っ人に遭うぞ!」
ぽん、と肩に置かれた手にびくっして振り返ると、色素の薄い茶髪に、きりりと浅葱色の目をつりあげ、少し不機嫌そうな男だった。
身長はそんなに高くないのだろうか、雛生より少し高いだけで、目線はさほど変わらない。
「はい?」
「んあ?おまえ…」
その男は食い入るように雛生を見たあと、考え込み、わっかんねえ、といってがしがし頭をかいた。
「おまえ端にいる野郎共に狙われてんぞ、市は狙い目だから気ぃつけろよ、旅行者か?」
「いやーま、そんなもんですけど…あなたは?」
正確にいうと遭難者だが、曖昧に笑って、聞いてみる。
「探し物があんだよ、てめえみたいな」
「新手の口説き文句ですか?」
「違ぇよ!おまえみたいな、大切なヤツがいなくなっちまって。まあ、かれこれ何年も探してるんだ、おまえツレは?」
ツレ、あっちで買い物中、と言うと、律義に側にいてくれているらしい。終始怒っているような雰囲気の男は根は親切らしい。一緒に来た人達とはぐれたついでらしい。
雛生はもうすこしぶらぶらすることにして適当に店を覗く。人が多くなってきてよけて歩くのが大変になってきた。
「おーい、そこの女!フラフラしてると盗っ人に遭うぞ!」
ぽん、と肩に置かれた手にびくっして振り返ると、色素の薄い茶髪に、きりりと浅葱色の目をつりあげ、少し不機嫌そうな男だった。
身長はそんなに高くないのだろうか、雛生より少し高いだけで、目線はさほど変わらない。
「はい?」
「んあ?おまえ…」
その男は食い入るように雛生を見たあと、考え込み、わっかんねえ、といってがしがし頭をかいた。
「おまえ端にいる野郎共に狙われてんぞ、市は狙い目だから気ぃつけろよ、旅行者か?」
「いやーま、そんなもんですけど…あなたは?」
正確にいうと遭難者だが、曖昧に笑って、聞いてみる。
「探し物があんだよ、てめえみたいな」
「新手の口説き文句ですか?」
「違ぇよ!おまえみたいな、大切なヤツがいなくなっちまって。まあ、かれこれ何年も探してるんだ、おまえツレは?」
ツレ、あっちで買い物中、と言うと、律義に側にいてくれているらしい。終始怒っているような雰囲気の男は根は親切らしい。一緒に来た人達とはぐれたついでらしい。