天神楽の鳴き声
見て頂戴、沚依様が言った。彼女が持っている長い紐に結ばれた赤色の石がゆらゆら目の前で揺れた。長い紐は色決めの時に配られるものに似ており、花の形に結ばれている。沚依様は小さな声でその石に語りかけた。その声に応えるようにその石は、穏やかな光りを放つ。
「天神楽の樹になる果実として、五色の玉がなります。これはね、その玉の一部。私は天命に応えるべく、それに精霊を呼び込みました。」
「テン…メイ?」
「私が、この命尽きるまでにやり遂げなければならぬこと。私は、昔々、約束したの。だから、意味にならなくとも、跡にしなくてはいけないのです。」
「それは、私に関係あることなんですか?どういう…ことなんですか?」
それには答えず、沚依様は凛とした声で放った。
「鳴桂(メイケイ)、おいで」
赤い石から、雫がこぼれ落ちる、花弁がどこからか吹いた風により舞い踊った。その中央から蕾が現れ、ゆっくりと開いた。その中にちょこんと座る掌くらいの少女が雛生に気付いて、ぺこりと頭を下げた。
「こんにちは、朱(アケ)さま。あ、初めましてです!わたし、鳴桂といいます」
「この子と私は契約を交わし、私はほんの少し、世界を変える力を得たの」
といっても、規模的には天気を変えるくらいのものなんだけどね、そう言って笑った沚依様は驚く事に少女のようだった。比喩ではなく、雛生と同い年ぐらい、または少し上ぐらいになっていたのだ。
「天神楽の樹になる果実として、五色の玉がなります。これはね、その玉の一部。私は天命に応えるべく、それに精霊を呼び込みました。」
「テン…メイ?」
「私が、この命尽きるまでにやり遂げなければならぬこと。私は、昔々、約束したの。だから、意味にならなくとも、跡にしなくてはいけないのです。」
「それは、私に関係あることなんですか?どういう…ことなんですか?」
それには答えず、沚依様は凛とした声で放った。
「鳴桂(メイケイ)、おいで」
赤い石から、雫がこぼれ落ちる、花弁がどこからか吹いた風により舞い踊った。その中央から蕾が現れ、ゆっくりと開いた。その中にちょこんと座る掌くらいの少女が雛生に気付いて、ぺこりと頭を下げた。
「こんにちは、朱(アケ)さま。あ、初めましてです!わたし、鳴桂といいます」
「この子と私は契約を交わし、私はほんの少し、世界を変える力を得たの」
といっても、規模的には天気を変えるくらいのものなんだけどね、そう言って笑った沚依様は驚く事に少女のようだった。比喩ではなく、雛生と同い年ぐらい、または少し上ぐらいになっていたのだ。