天神楽の鳴き声
「葉深、今、おれは驚いている」
鍬定の間で、志臣は、目の前に積まれた報告書や、分厚くて読むのも躊躇われそうな書物をぐいっと机の隅にやる。心なしか震える志臣に葉深は容赦なく、書類と書物を志臣の目の前に戻す。
「何を驚かれているんですか」
「やってもやっても終わらない、なんでこんなに仕事が多いんだ。どういう事だ…」
「雛生様居なくなってしまわれて、他の色官たちもいつもの倍速で仕事してますから、最終的に書類だとかが到達する僕らチームみかどはてんてこ舞いなわけです。」
葉深は深い溜息を落としながら、まだまだありますけどね、と悪魔の囁きをこぼす。
「駄々っ子のようにバタバタしたい」
「二十八にもなる大の大人がバタバタするとか気持ち悪いんでやめてください。なった瞬間に放り投げますよ」
「葉深は可愛い顔してすぐそーいう事はいうー。やあねー物騒な子はー」
「気持ち悪いこと言わないでください、その口調、不気味です」
葉深はまた溜息をこぼした。僕だって自室に戻って心を休めたいですよ、そういいながら志臣の机に追加の書類をおいた。眉がさらにハの字になり、頼りなげな顔がまた一層頼りなくなる。捨てられた犬を彷彿とさせるようなその顔は三十路のものとは思えない。
おれより歳上とか詐欺だよな…と心の中で志臣は思った。
「部屋帰っても慰めてくれる人もいないくせにー」
反撃とばかりにそういうと、怒りながら、勿論迫力などないが、
「僕だって!一人くらいは…」
「あっれー?そーいや、ようちゃんフられたんじゃなかったっけ?」
間が悪いのか、良いのかわからないが、空平があくびしながら部屋に入ってくる。
鍬定の間で、志臣は、目の前に積まれた報告書や、分厚くて読むのも躊躇われそうな書物をぐいっと机の隅にやる。心なしか震える志臣に葉深は容赦なく、書類と書物を志臣の目の前に戻す。
「何を驚かれているんですか」
「やってもやっても終わらない、なんでこんなに仕事が多いんだ。どういう事だ…」
「雛生様居なくなってしまわれて、他の色官たちもいつもの倍速で仕事してますから、最終的に書類だとかが到達する僕らチームみかどはてんてこ舞いなわけです。」
葉深は深い溜息を落としながら、まだまだありますけどね、と悪魔の囁きをこぼす。
「駄々っ子のようにバタバタしたい」
「二十八にもなる大の大人がバタバタするとか気持ち悪いんでやめてください。なった瞬間に放り投げますよ」
「葉深は可愛い顔してすぐそーいう事はいうー。やあねー物騒な子はー」
「気持ち悪いこと言わないでください、その口調、不気味です」
葉深はまた溜息をこぼした。僕だって自室に戻って心を休めたいですよ、そういいながら志臣の机に追加の書類をおいた。眉がさらにハの字になり、頼りなげな顔がまた一層頼りなくなる。捨てられた犬を彷彿とさせるようなその顔は三十路のものとは思えない。
おれより歳上とか詐欺だよな…と心の中で志臣は思った。
「部屋帰っても慰めてくれる人もいないくせにー」
反撃とばかりにそういうと、怒りながら、勿論迫力などないが、
「僕だって!一人くらいは…」
「あっれー?そーいや、ようちゃんフられたんじゃなかったっけ?」
間が悪いのか、良いのかわからないが、空平があくびしながら部屋に入ってくる。