隣のマネージャーさん。
「おい、何そんなところで固まってるんだ。早く荷物置いてアップしてこい。」
「あ、はい‼︎」
合流した監督がまだ立ち止まったままの俺達にそう言うと、悠と結愛の視線の先にまだ見える夏川さんを見た。
「桜花の夏川……か。」
「監督、知ってるんですか?」
「ん、まぁな。今年の桜花の期待の星らしいぞ。…にしても、デカイな。」
そう言うと、監督は対戦表をミーコ先輩に渡してどこかへ行ってしまった。
「よし、じゃあとりあえず荷物置きに行って、それから対戦相手の確認な。」
「「はい‼︎」」
ニコッ、と笑った勇大先輩の後に続いて荷物置き場に向かった。
「決勝戦か…何か、もうドキドキしてきちゃったよー。」
そう言って胸に手を当てながら、俺を見上げて笑う結愛。
……不意打ちだ。
俺も結愛とは違う理由で、今ドキドキしてるんだけど。
「……まだ早い…っつーか、結愛は試合出ないだろ。」
「うん、そうだけどドキドキしてる。」
あまり答えになってねぇよ、結愛……
屈託のない笑顔に、俺も笑顔で返した。