隣のマネージャーさん。


両腕を大きく広げてどんっ!!という効果音が聞こえそうな構えをする夏川さん。

俺よりもデカイんだ、俺が高く高くジャンプしても、それを上回るジャンプをしてくるに違いない。

いや、絶対にしてくる。

構えた以上、ドリブルには戻れない。

「……桐谷くん、だっけ。」
「……はい。」

夏川さんはニコッと笑って続けた。

「君はバスケがすごく上手だね。バスケをすごく好きだってことも伝わってくるよ。」
「……でも、譲ってはくれないんですよね?」
「残念だけど、それはできないね。」

お互い、時間が止まったように動かないまま静かに話す。

「……なら、俺は夏川さんより高く高く跳んで、シュートを決めるだけですよ。」
「はは、言ってくれるじゃない。」



ギュッ、


タンッ!!



お互い、高く高く跳んだ。




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