隣のマネージャーさん。
「ま、けた……」
まだその場で固まったままの夏川さんが、小さく呟いた。
バスケの名門校だからこそ、桜花の選手の落ち込み具合は見ててすぐにわかった。
でも、夏川さんはふうっと息を吐くと、俺に笑いかけた。
「おめでとう、桐谷くん。」
「……夏川さん。」
「おい、レジだけかよ~瞬ちゃん。」
「はは、悠もおめでとう。まさか、最後にきめられるとは思わなかったよ。」
また夏川さんは笑って、頭の後ろに手をあてた。
「まさかここまでとは……正直思ってなかったから。」
「舐めすぎだよ、瞬ちゃん。」
「はは、だからごめんねってば。」
苦笑いしながら謝った夏川さんは、スッと俺の前に手を差し出した。
「僕等のぶんも、インターハイで頑張ってきてよ。手、抜いたら駄目だからね?」
「………もちろんですよ。」
「はは、いい試合だったよ。今度は、負けないからね。」
俺と夏川さんが握手をすると、観客席から拍手が沸き起こった。
いい試合だった、とかよく頑張ったぞ、とか。
俺達にたくさんの言葉が降り注がれた。