隣のマネージャーさん。
観客席に着いて、階段を少し下りた所にある席に俺は腰を降ろした。
「ここから見えるコートで、蓮次くん達が試合してたんだよ。」
そう言った結愛を見上げると、さっきまでの試合を振り返るように目を細めてコートを見つめていた。
「……そう、だな。」
「ふふ、こんなに広かったんだね。観客席も、コートも。」
ぐるっと会場中を見回した結愛は、俺の隣の席に座った。
……本当、小せえな。
それに体も細いし、手も足も、顔も小さい。
俺みたいなデカイ奴が抱き締めたら壊れるんじゃないかっ、て思えるくらい小さいなと思う。
「……ここまでくるのに、いろいろあったな。」
「うん、そうだね。厳しい練習とか、先輩達のこととか颯汰くんのこととか。その度にみんなで乗り越えてきたよね!!」
「ああ、監督の鬼のような厳しい練習にも耐えたしな。」
ふふっと隣で笑う結愛を見て、トクトクと心臓が脈を打つ。
緊張感は全くないけど、不思議と居心地が良くて安心する。
「結愛達マネージャーにも世話になったしな。」
「何言ってるの、まだインターハイがあるでしょー?」
引退するんでもないんだからー、とまた笑う結愛。
その顔も、仕草も………
「……結愛。伝えたいことがあるんだ、聞いてくれるか?」
「うん、もちろん。」
俺は息を吸いながら、ゆっくりと結愛と向き合った。