隣のマネージャーさん。



本当は、きっと心のどこかで気づいてたんだ。

わかってたんだ、この気持ちに。

ただ言葉にしなかっただけで、ずっとあったんだ、この感情が。


あたしの心の片隅に。


言った途端に、何か大きくて温かいものに包まれた。

気づいた時には、蓮次くんの腕の中だった。

小さいあたしは蓮次くんの腕の中にすっぽりと収まっちゃって。


「れ、蓮次くん……」
「やっべえ……めちゃくちゃ嬉しい……」


わあ……な、何、これ……

す、すごくドキドキする!!!!

そんなあたしに負けないくらい、蓮次くんの心臓もトクトクと早く動いてて。

“生きてる”って、“嬉しいんだよ”って、あたしにまで伝わってくる。

「……あ、あたし、すごくドキドキしてる……」
「俺もだし。」
「うん……蓮次くん、すごくドキドキしてるね……」
「……うるせえ、わかってるよ……」
「……顔見たい、蓮次くんの。」
「……今は駄目。」
「ええー、見たいよ。」
「いや、駄目だわ、今は……」


そんな会話をしながらも 、蓮次くんは抱き締める腕を離してくれないし、あたしも身動きがとれない。


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