隣のマネージャーさん。


「俺達が1年の時、先輩は俺達ほど緩くなかったし、後輩の扱いも全然違った。」

目を伏せ気味に話すカズ先輩に、他の先輩達も眉をひそめた。

「俺は背がずば抜けて高くて、口数が少ないっていうのもあって酷いことも言われたけど、コイツ等がいるから、頑張ろうと思ってここまでやってこれた。」

そう言うカズ先輩は優しい表情だった。

「女子なのに強気なミーコと、女子から人気のあるタクはとくに先輩からの風当たりが強くて……なのに笑って俺と楽しそうにバスケの話をする2人を、少しでも守りたいと思って……はじめはバスケ部にいたんだ。」
「カズ……」
「あんた、そんなこと思ってたの?」

タク先輩とミーコ先輩の視線に、少し照れながら首の後ろに手を当てたカズ先輩。

……こんなカズ先輩、はじめて見た。

「…………それは、勇大も同じだったことで……勇大と、話をしたんだ。」



“この2人と、これからの後輩達のためにも、俺達がバスケ部を変えていこう……”



「「カズく~ん!!!!」」

とうとうタク先輩もミーコ先輩も堪えてた涙を堪えきれず、わんわん泣き始めた。

「………だからその時、勇大についていこうと思った。それから後輩ができて、先輩の風当たりの強さにやめた奴等はたくさんいたのに残ってくれたヤスとダイとミズキが………俺にとってはすごく、可愛い後輩だった。」


微笑むカズ先輩に、泣くのを耐えていたであろうヤス先輩も泣き始めた。

普段無口なカズ先輩がいろんなことを思いながら部活をしてきたことが、よくわかる。

こんなに話すなんて、カズ先輩は本当にこの部活が、このメンバーが大好きだったんだなと思うと、俺の目頭も熱を持ち始めた。



< 349 / 371 >

この作品をシェア

pagetop