隣のマネージャーさん。
「あー、カズがこんなに良いことを言ってくれた後に喋るの、気が引けるな~。」
あははと笑う勇大先輩の目は、既に潤んでた。
「おい、部長、まだ早いぞ~。」
「そうよ、泣き虫勇大!!」
「…………っぐずっ、」
「あはは、カズの突っ込みも待ってたんだけどなー?」
「…………黙れ、っ……」
「ははは、よし、話すか。」
名残惜しそうに勇大先輩は体育館を見回しながら笑った。
「都子とは幼なじみで、同じ高校行ってバスケしたいって理由でここ、三坂高校に入学してバスケ部に入った。でも、カズも言った通り毎日先輩の風当たりに耐えるのもしんどくて、俺もタクと同じくやめたいと何度も思った。」
懐かしそうに天井を見上げて笑った先輩。
「でも、みんな頑張ってるのにそんなの言えるわけなくて…そんな時にカズと話して。俺はその時カズについていこうって思ったんだけど?」
「……だって、カズ。」
「……はは……逆だったのか。」
目を細めて笑った先輩は、2年生を見た。
「はじめはダイしか信用してなくて、うわべだけの笑顔だってどう見ても丸わかりだった芽生。」
「…っ!!せ、先輩……」
本名で呼ばれてビックリしてるヤス先輩に、笑いかけて続ける部長。
「怪我のリハビリして、満足に大好きなバスケができないのに、いっつも誰よりも走って動いて、デッカイ声で応援してくれた大輔。」
「は、はい……!!」
「うん、いい返事だ。姉御肌で心配性で、とても勇敢で優しい美姫。この2人を支えながら頑張ってくれてありがとう。2人も、こんな俺についてきてくれて、ありがとう。」
ニッコリ笑って、部長は今度は俺達1年を見つめた。