隣のマネージャーさん。
だから2人とも様子が変だったのか……
「あ、蓮次くん。」
着替えを終えて部室から出ると、結愛に呼ばれた。
「何?」
「あのね…寝起きは涙が出て泣いたみたいになるっていうの、嘘なんだ。」
「……だと思ったよ。」
そう言えば、結愛は『やっぱり。』と言って苦笑いした。
バレバレだろ、あんな嘘。
「実は…夢を見たんだ。」
「夢?」
「うん……お父さんとお母さんのお葬式の日の夢。あたしと悠くんがバスケを始めるきっかけになった日の夢。」
結愛は俯き気味に言った。
「お父さんとお母さんはバスケが大好きで、あたしと悠くんにバスケに興味を持ってほしかったみたい。キャッチボールもバスケットボールで、ドリブルのやり方とか全部お父さんに教わったの。5歳くらいの記憶だから、曖昧だけどね。」
そう言うと、結愛は顔を上げて遠くを見つめた。
懐かしいものでも思い出しているような瞳で。