恋萌え~クールな彼に愛されて~
こうしたかったから――
塚本のその一言に梨花は呆然とした。
それは「大人の付き合い」という意味だろうか?
もしそうだとしたら、突然の塚本の誘惑に
彼が自分に恋愛感情を抱いているのかもしれないなどと
ほのかな期待を抱いたのが恥ずかしいやら情けないやら……。
しかし理由は何であれ、男が独りで暮らす部屋に
女が一人で来たのだ。それをどう解釈されても
非難する権利は自分にはないと梨花は思った。
迂闊だったと悔やんでも後の祭りだ。
でも自分はそんな割り切った恋や
その場限りの恋ができるタイプじゃない。
塚本からそんな風に見られていたとしたら、悲しい。
悲しい……?
なぜ悲しいのだろう。
塚本はただの同僚だ。特別な関係があるわけじゃない。
彼が自分をどう思っていようが構わない。
仕事上の信頼関係さえあればそれで充分だ。
でもこういう事で誤解されるのは女として嫌だ。
だから悲しんでいるだけではいけない。
毅然とした態度にでなければ!と梨花は自分を奮い立たせた。