恋萌え~クールな彼に愛されて~
「悪いけど……こういうお相手は私には無理。人選ミスよ」
「恋人とでなければ、できない?」
「当然でしょう」
「じゃあ君の恋人になるにはどうすればいい?」
「!?」


梨花は咄嗟に言葉が出なかった。
一瞬何を言われたのか分からなかった。
塚本の腕に抱かれたまま、その中で体を反転させて
彼の顔を見つめながら瞬きを繰り返した。


そんな梨花を微笑む瞳に写しながら
塚本は一際声を潜めて囁いた。


「どうすれば君の恋人になれる?」


その問いに梨花は答えようがなかった。
そんな事を聞かれても困る。
むしろ教えて欲しいのは自分の方だと梨花は思った。


「どう、って……そんな」


塚本が自分の恋人になるなんて思ってもみなかったし
いや、少しくらいは、そうだったらいいと思った事もあったけれど
それは物語の王子様に憧れるのと同じ単なる妄想で
まさか現実になるなんて梨花は夢にも思っていなかった。


「本当に私の…?」
「そう。君の……」


「恋人に」と梨花を見つめ返す塚本の瞳は
甘やかに細められ、彼の長い指先が
彼女の頬を優しく撫でた。


「ずっと、君に憧れてきたんだ」


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