恋萌え~クールな彼に愛されて~
第四章 ~親友~

「で、何?結局そのまま帰ってきちゃったわけ?」
「うん」
「何てもったいないことを!」
「だって!」
「キライじゃないんでしょ?」
「でも好きなのかどうか……わかんない」


やれやれ、と頭を振りながら
茹で上げてすぐのパスタを左手のフライパンで躍らせ
右手で出来立てのトマトソースを手際よく絡めながら華子は言った。


「あんたってホーント 石橋を叩いて壊しちゃうタイプよねえ」
「何よ、それ」
「で、結局向こう側には渡れないわ、当然目的地にも行けないわで
その壊れた橋の手前で立ち往生するの。気の毒な子」
「気の毒って・・・やめてよ!そんな言い方!」


テーブルに皿を並べながら
釈然としない様子で反論する梨花に構うでもなく
また気に留める風でもない華子は
「冷蔵庫の生ハムと水菜のサラダとワインを出して」と
鼻歌交じりで言うと、オーヴンで温めたバケットに
唐辛子風味のオリーブオイルを垂らして
「味見味見vv」とかじり付いた。


「ねぇ、華子! 真面目に聞いてる?」
「聞いてる。つか、その前にとにかく、これ」


ほれ、と目の前に突き出された
湯気の立つフライパンを受け取った梨花は
今しがた並べた皿にパスタをサーブしていった。
オリーブとガーリックとトマトのこれぞイタリアンな香りに
猛然と食欲を刺激され、さっきよりも一段と空腹を感じた梨花は
そうね。まずはこっちね、と納得して微笑んで
グラスに冷えたワインを注いだ。


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