恋萌え~クールな彼に愛されて~
「その彼、話によると遊び人ではなさそうだし
同僚のアンタを誘惑するくらいだから
その場限りなんてつもりはなかったんじゃないの?」
「でも海外での暮らしも長いんだもん。
女性にも慣れててフレンドリーなのかもしれない」
「ならどうしてアンタんとこのモデルもどきの彼女を振ったのよ?
それこそ割り切って遊ぶならちょうどいいじゃないの」
「そんなの知らないわ。彼に聞いてよ」
「私が聞いてどうするよ?」
もう少し取って、と皿を突き出されて
梨花は華子の皿にパスタを足した。
「確かに泣いたり傷ついたりするのは嫌だけど
それを怖がってばかりじゃ恋はできない」
「うん」
「恋ってさ、相手を好きになったのは何日で、なんて
記録できるようなもんじゃないでしょ?気付いたら好きになってた。
そうじゃない?」
「うん」
「自分で気付くのじゃなくて、アンタみたいに
気付かされる場合もあるわね」
「え?」
「彼が割り切った付き合いを求めてるとしたら悲しかったって
梨花 言ったよね?」
「うん」
「何とも思ってない相手がそんな事言ったら悲しいじゃなくて
普通はムカつかない?」
「あ…」
「それよりもアレよ!男の買い物に
わざわざ車まで借りて付き合ってやるなんて
もうその時点でアンタは彼が好きだわ」
「それは」
「別の男でも同じようにしてやった?」
「しない、かも」
「でしょう?」
「けど、もう遅いもん」
「何が?」
「昨日、あんなふうに……」
「ばっかねえ。幼稚園児じゃあるまいし
一晩寝たら「好き」が「嫌い」になるなんて
よっぽどの事がなきゃありえないわ。
人間ってね、気持ちを変えたくても……
そう簡単には変わらない、変えられない厄介な生き物なのよ。
だから苦労するんじゃないの!」