恋萌え~クールな彼に愛されて~

「どうぞ。上がって。荷物が届いたばかりで散らかってるけど」


…従妹、かも。
疎遠ではない付き合いの、遠方の地方に住む従妹。


検索の結果、梨花はそう答えを出した。


それならばこの馴れ馴れしさも合点がいく。
NYから戻ってきた仲良しの従兄の顔を見るついでに
東京に遊びに来て、その部屋をホテル代わりにしているんだ、と 
そんな予想とも妄想ともつかない補足まで付け足して
自分を無理やり納得させると梨花は平静を装った。


「はい。どうも… お邪魔します」


躊躇いながらも梨花は靴を脱ぎ
昨日はなかったスリッパに履き替えながら
落ち着かない気持ちのまま
目の前を軽やかに歩く伸びやかな肢体に思った。


妙齢な男性の一人暮らしの部屋に来ているというのに
ハーフトップにショートパンツって格好は何?
いくら従妹だとしても、これはないんじゃない?


そんな訝しげな視線を送る梨花になど構いもせず 
その彼女はまるで自分の部屋へ招き入れるように梨花を誘導した。


「さあ奥へ…っていうほど広くないけど。どうぞ」


そんな事知ってるわよ、とは思っても言える筈のない梨花は
こみ上げてくる 言葉にできない苛立たしさを持て余しながら
「失礼します」と一瞬だけの微笑みを作った。


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