恋萌え~クールな彼に愛されて~

「笑いすぎだぞ」
「ごめんなさい」
「でも いい。 またあの頃と同じ君の笑顔が見られたから」
「そんな…」
「好きなんだ」
「え?!」
「笑ってる君は本当に幸せそうで とても綺麗だ」


そんなまた恥ずかしい事を…と火照った頬を両手で押さえて
落ち着かない素振りで目を泳がす梨花を今度は塚本が笑った。
おかげで どこかぎこちなかった二人の間が和んだ。
でもそれは束の間だった。
そのまま塚本の部屋に茶々が居ついてしまったと聞いて
また梨花の表情が硬くなった。


「でも居候とか同居という感じではなかったな。
……何となく野良の猫が屋根裏に住み着いた。そんな感じだった」


今はパワーエリートで経済的に余裕がある塚本も
当時は親のすねをかじる普通の学生だった。
当然 借りていた部屋も広めのワンルームにコンパクトなキッチンがついた
だけのものだった。けれど最上階だったので小さな天窓の付いた
畳なら2畳弱ほどのわずかなロフトスペースがあった。
茶々はそこを自分の居場所に決め、スケッチや所用で外出する以外の時間は
ほとんどをその場で過したのだと言う。


「女の子と同居するのに、そんな簡単に決めちゃったの?」
「あの街で行く宛ての無い女性を一人で放りだすよりはマシだろう?」
「そう・・・だけど」
「ロフトは使ってないスペースだったし、俺は昼間は大学に行っていて居ないしな。近くのカフェでのバイトもすぐ決まって、食べる分くらいは自分で何とかしていたし、別に問題はないだろう?」


それだけが問題じゃない、と梨花は内心で思った。
そんな梨花の思いを他所に塚本は話の先を続けた。


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