恋萌え~クールな彼に愛されて~
第八章 ~語られた過去~
『あれは クリスマスイブの夜だった。

小さなツリーのささやかなイルミネーションでは足りない灯りは
部屋中 いたるところに置いたキャンドルの灯で補った。


とても幻想的だった。
見慣れた部屋が別の場所の様に感じた。


でもそんな雰囲気に流されたわけじゃない。
酔いに任せた一時の感情の昂ぶりでもない。
本当に愛おしいと思った。


だから引き寄せた。 

彼女も拒まなかった。


仄かに揺れる灯に映し出された彼女の瞳は 
甘やかに蕩けて
悦んで応えてくれている様にも感じた。
彼女も俺と同じ想いでいるのだと思った……』


塚本の独白を聴きながら梨花は思いのほか動揺した。


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