恋萌え~クールな彼に愛されて~
第二章 ~意外な素顔~
そしてまた 多忙だけれど穏やかな
元の環境が戻ってきた。
相変わらず手厳しい塚本との仕事は
穏やかとはいかなかったけれど
彼がフロアにもたらす心地よい緊張感が
効率も能率もアップさせていると
梨花は改めて塚本という人物の存在感を思い知った。
そんな 厳しくて迷いなど微塵もないような仕事ぶりで
いつも毅然としている塚本が見せた憂いの表情。
気にならないわけがない。
「・・・その荷物に、何か問題でも?」
「いや、問題と言うほどではないんだ。ただ・・」
「なに?」
「前回の、一便の荷物がまだ片付いていないんだ」
「は?」
NYを出るときに家財道具を含め
荷物を二回の船便にして送ったのだという。
1便目は日本へ赴任直後からすぐに必要になる物を
離任の1ヶ月前に。
2便目はNYを離れる時に。
1便2便の到着には1ヶ月余のタイムラグができる。
その間に1便の荷解きは終えておくのが普通なのだか・・・と
塚本はまた ため息を落とした。
「終わらなかったのね。忙しくて?」
「ああ。終わるどころか箱を開けてもいない」
「うそ!日本での生活にすぐ必要なものだったんでしょう?!」
「本当にすぐ必要なものはエアー便で送ったんだ」
30キロまでなら会社負担でエアーで送れるからな、と付け足した。
「・・・じゃ、お部屋、箱だらけ? 一ヶ月間も?」
「ああ、それで明後日また箱が追加になる。
だらけ、どころじゃないな」
「笑ってる場合?」
「じゃない、だろうな」
「明日一日で今ある分を片付けないと!」
「ああ、まあそうなんだが・・な」