恋萌え~クールな彼に愛されて~
そのアルバムのヒットに伴い、茶々のジャケットも評判になった。
大胆で斬新なキュートさと、センスの良い色使いは
茶々の経歴とNYでの生活スタイルとともに
女子中高生を中心に若い女性の支持を集めた。
その人気にファッション誌が飛びつき、コラボレート企画として
茶々がデザインしたバッグや靴、アクセサリーなどを
期間限定や個数限定として通信販売も始めた。
絵画だけに拘わっていたわけではない茶々は自分の作品を
たくさんの人に見て楽しんでもらいたいと意欲的に取り組んだ。
こうなるとあっという間に売れっ子になって
本業に構わずタレント扱いするのが日本のマスコミだ。
しかもそれがチャーミングで才能豊かな女性となれば
放っておくわけが無い。
取材だけでなくバラエティ番組への出演、更には
ヒューマンドキュメンタリーを製作する話まで持ち上がったが
茶々はそんな煽りには一切興味を示さず
自身の露出に関しては全てをシャットアウトした。
タレントになって自分自身を見せたいわけじゃない。
私は私の絵を見て楽しんでもらいたいから、と
堅実に「描く」仕事をする事で実績を積み上げてきた。
そうなるとマスコミは掌を返したように静かになった。
熱しやすく冷めやすい少女たちの流行も然り。
CHACHAのロゴを見ることも、その名を聞く事も無くなった。
けれど茶々は、それには全く無関心で冷静なままだった。
元来、画家である茶々にとって
ファッション関係の仕事はあくまで派生仕事であり、経験であり
本職の肥やしでしかなかった。一時的に増えた収入のおかげで
また世界放浪ができると喜んでいたそうだ。
彼女にとって日本でのブレイクは、その程度のものだった。
だから流行が廃れても一向に構わなかったのだ。
そんな茶々の画家としてのひたむきな姿勢と豊かな才能は
しかるべき場所で評価され
絵画やイラストやデザインだけでなく
ビルや店舗の内装飾の様なものまで様々な依頼が殺到し
拠点を日本に移さざるを得なくなった茶々は
自分にどこまでの可能性があるのかを試す絶好のチャンスだと
迷うことなくNYを離れたのだという。