恋萌え~クールな彼に愛されて~
「綾瀬君?」
「あのね、もしも私が同じことをしたら貴方はどう思う?
酔いつぶれた男性の友達を泊めたとしたら…」
そんな事が許せるはずが無い、と言い掛けて塚本は口を噤んだ。
じゃあ自分はどうなんだ?同じことを彼女は思ったのではないか?
今度は塚本が黙る番だった。正論が常に正答であるとは限らないと
この時、塚本は痛いほど感じてうろたえた。
黙り込んで自分から視線を外した塚本を梨花はじっと見つめた。
「私、よくわかった。 自分で思っている以上に
貴方の事が好きなんだと思う。
だから茶々さんとの事を理解はしたけれど
納得は・・・今はできない。
貴方は間違っていない。やましいところもない。
だから責めるとか、悪いとか、そんなんじゃないの。
そうじゃなくて・・・
すごく嫉妬してるの。はらわたが煮えくり返るくらい。
聞かなければよかったと後悔してる。
でも聞かなかったらもっと後悔したと思う。
けど・・・ごめんなさい。少し頭を冷やしたい。今日は帰ります」
つまらない拘りかもしれない。幼稚なヤキモチかもしれない。
それでもどうしても笑うことができなかった梨花は
そのまま軽く頭を下げ、席を立った。