恋萌え~クールな彼に愛されて~

めくるめくような濃密な時の中で
塚本から絶え間なく与えられる甘やかな快感に
頑なだった梨花の理性も羞恥も溶けてしまった。
明るい光の中で自分の身体を開いていく塚本の手を振り払うこともせず
艶かしく弄る指先と舌に、煽られた欲望が溢れ出てしまった梨花は
淫らな声を上げ、身悶えしながら、小さな絶頂を幾度となく迎えた後
濡れて熱く蕩けた内で塚本と繋がった。


浅い揺さぶりの後、緩急をつけた律動で
高みへと押し上げられた梨花の身体の奥から
いくつも連なって浮き上がって来た小さな泡が
ぱちぱちと同時に弾け散った。


これがエクスタシーか、と朦朧とした意識の中で梨花は思った。
SEXで達したのはこれが初めてだった。


背中から塚本に抱きしめられる格好でシーツの間でまどろみながら
梨花は思った。
これまで男性経験がなかったわけではない。
でもいつもどこか冷めていて、ときめきはあっても
悦びを感じたことはなかった。寧ろ苦痛だった。
だから相手が求めてこなければ無くても構わないと思っていた。
その方が穏やかでいいのではないか、とさえも。


でも心から愛しいと思い合える人との睦み合いは
こんなにも甘美で満たされるものなのだと実感してしまった。
知ってしまった以上、もうさっきまでの知らない自分には戻れないし
今以上、これ以上を貪欲に求めてしまいそうだと
梨花は小さく感嘆のため息を落とした。



「どうした?」
「何でもない」
「疲れたか?」
「ううん。大丈夫よ」

「・・・梨花」


塚本は自分と向き合うように梨花の肩を返した。


「さっきの・・・良くなかったか?」
「え?!」
「この状況でため息を吐かれたら男としては気になる」
「違う!違うの。そういうんじゃなくて。えっと・・・」
「じゃあ 何?」


梨花は塚本の腕と視線に抱かれたまま、しばらく逡巡した後で
塚本の胸元に顔を埋めて呟いた。


「もう戻れないなと思って」
「戻る?」
「あなたを知らなかった無欲な自分には」
「?」
「つまり、えっと・・・」
「わかった。もっとしたいって事だな」


「そうじゃなくて」といいかけた梨花の言葉は塚本の唇に遮られた。
徐々に深まるキスが再びの甘やかで濃密な時の始まりを告げた。
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