恋萌え~クールな彼に愛されて~
「今日はありがとう」
「いえ・・・明日、大きい方の棚が届くから。
頑張って片付けて」
「ああ、色々すまなかった」
「ううん、全然平気」
じゃあね、と小さく手を振った梨花が
車のドアに手をかけた時だった。
「綾瀬君!」と呼び止められてその声へと顔を上げた。
「はい?」
「あの・・すまないついでに
もう一つ頼まれてくれないだろうか」
「なに?」
「もしこの後予定がないのなら、少し・・・
手伝ってもらえないだろうか?」
「え?・・・えっと」
「突然で申し訳ないのは承知してる」
「あ・・・でも」
「この時間からだからもちろん食事つきだ。
美味い寿司を奢ろう。ああ、何なら時給も出そうか?」
「そんな!とんでもない!」
焦って手を振る梨花を一笑した塚本は
「それなら・・・」と少し考える風に腕組みをした。
「いいシャンパンがあるんだ。餞別で貰ったんだが
一人で空けるには惜しい代物なんだ。
付き合ってくれると嬉しい」
「でも 車が」
「明日まで借りてあるんだろう?ここに置いていけばいい」
「でも・・・」
「大丈夫だ。明日俺が返してくる」
梨花は どうしよう と戸惑いながらも
結局頷いた。美味しいお寿司と上等のお酒つきの食事に
釣られたからなのか、そうでなかったのか。
いいや、食事とお酒に釣られたのだと
納得させて彼と一緒にドアをくぐった。