はじめてを、おしえて。
「すみません、ボクは美術部で、皆様を見て、勝手にデッサンの練習をさせていただいておりました」
ボク、美術部、と聞いて、マネージャーさんは思いきり眉間にシワを寄せました。
そして、パラパラとボクから没収したノートを開きます。
「おぉー、うまいもんだな」
横から覗いた藤原君は、感心したようでした。
「美術部って……。オタクの巣窟でしょ?
気持ち悪い。
部員の気が散るから、やめてくれる?」
バサリ。
何とも見事に、ボクは斬られてしまいました。
ノートが足元に、放り投げられます。
「先輩、モノを投げなくても」
さっきまで人をバタバタ投げていた藤原君が、かがんでノートを拾ってくれました。
「ほら」
ぽん、と砂を払ってくれた手は、大きくて。
そのままボクに、ノートを渡してくれました。