はじめてを、おしえて。
関わらないと決めていると、突然どこからか低い声がしました。
「……そういうこと言うなよ」
「……え?」
驚いて、思わず顔を上げそうになってしまいました。
その声は間違いなく、藤原くんのものだったのです。
ボクは突っ伏したまま、様子をうかがいます。
「なんのこと?藤原」
「んー?なにがだ?」
「何か文句言った?」
「何か文句言われるような事、言ってる自覚があるのか?」
藤原くんの声のテンションは、いつもと変わりません。
しかし、この異常事態に、周りは静まり返ってしまいました。
だって、クラスの人気者が、オタクをかばうような発言をしたのです。
これは、大事件でした。