はじめてを、おしえて。
「斉藤殿、どうなされた!?
整形でもしたのかい!?」
「えっ?」
「あ、本当だ。顔が違う」
彼女達は代わる代わるボクの顔をのぞきこみました。
ボクはそこで初めて、自分がメイクをしていたことを思い出しました。
慌てて窓へ駆け寄り、顔を写します。
オタクは鏡など、持っていないのです。
すると細部まではわからずとも、目の下が黒くなっていないことだけはわかりました。
まつげは朝の勢いをなくし、少しうなだれていましたが、それでも昨日までのボクよりは、よほど目が大きく見えます。
ホッと胸をなでおろすと、ボクは彼女たちの方を振り向きました。