はじめてを、おしえて。


「斉藤殿、どうなされた!?

整形でもしたのかい!?」


「えっ?」


「あ、本当だ。顔が違う」



彼女達は代わる代わるボクの顔をのぞきこみました。


ボクはそこで初めて、自分がメイクをしていたことを思い出しました。


慌てて窓へ駆け寄り、顔を写します。


オタクは鏡など、持っていないのです。


すると細部まではわからずとも、目の下が黒くなっていないことだけはわかりました。


まつげは朝の勢いをなくし、少しうなだれていましたが、それでも昨日までのボクよりは、よほど目が大きく見えます。


ホッと胸をなでおろすと、ボクは彼女たちの方を振り向きました。




< 108 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop