はじめてを、おしえて。
藤原君……。
同じクラスだったのですね。
しかも、ボクの名前を(たとえ苗字だけでも)知っていてくれた……。
ノートを抱えた胸が、ぽかぽかと温まります。
……男の子って、藤原君て、大きいんだなぁ。
ノートを渡してくれた藤原君の顔は、ボクの頭上の彼方に見えました。
多分、本当はそんなに背が高くはないのだろうけれど……。
キラキラ澄んだ、猫みたいな瞳が、キミを遥か遠い存在に思わせるのです。
ありがとう、一生忘れません。
オタクのボクは、もうキミに話しかける事も叶わぬでしょう。
ボクは初めて感じた幸せと、切なさを抱いて、柔道場を後にしました。