はじめてを、おしえて。
お弁当と屋上
「はよ」
「!?」
もう、話をする事も叶わぬと思っていたのに。
翌日の朝、下駄箱で。
ボクは藤原君に、挨拶をされていました。
「お、おはよ、う、ござい、ます」
思わず声が上ずってしまいます。
男の子とあまり話をした事のないボクは、緊張のあまり、たちまち変な汗をかきはじめました。
制服の藤原君は、なるほど、見たことのある人でした。
柔道をしている時の、燃えるようなオーラはなく、髪も綺麗に整えられて。
全く、小綺麗な、普通の高校生でした。
「昨日、悪かったな。
あのマネージャー、性格スゲーキツイんだ」
「いえ、滅相もございませぬ!」
緊張しすぎて、おかしな言葉になったボクを。
藤原君は、猫の瞳で見つめて、笑いました。
「武士かよ、斎藤」
全く、軽蔑する事なく。