はじめてを、おしえて。
「周りを気にせず、好きなものを好きって言えるの、すげぇよな」
「……はい……」
「だから、斎藤もキモくない。
俺はそんな事で、斎藤を軽蔑したりしないよ。
むしろ、そこまで熱くなれるものがあるって、良いんじゃね?
姉ちゃんと同じ種類のオタクで、ちょっと、驚いたけどな」
藤原君は、ボクの描いた下書きを思い出したのか、照れ笑いをしました。
ボクは、また……。
泣きそうになったのを必死でこらえ、笑い返しました。
藤原君が、肯定してくれた。
途端に、ボクは自分が価値がある人間かのように思う事ができました。
「ここは、もういいか?」
「はい」
一緒に部屋を出ようとした、その時……。