はじめてを、おしえて。
「おお、これが漫画の柄になるやつか」
「斉藤さんって、漫画家になるの?」
藤原君の周りには、いつだって人がいます。
なので自然に、ボクに話しかけてくれる人も増えていきました。
「いいいいえいえ、ただの趣味でございますれば」
「へえ、もったいないねー。なればいいのに」
「そしたらサインくれよなー」
ただの軽口。
ボクはただ、一風変わった人としていじられているだけ。
それだけなのに、どうしてでしょう。
すごく、すごく、嬉しいのです。
ボクの世界は、今までとても狭かったのだなあ。
今さらながら、それを感じました。