はじめてを、おしえて。
「絵、書けそうか?」
自然な笑顔で、藤原君はたずねます。
「あ、あ、はい、まぁ……」
すみません……。
本当はホモ漫画を描くために、寝技を見たかったなんて、口が裂けても言えません。
「俺の姉ちゃんが、美術部だったんだけどさ。
一昨年、美大受けるって、まぁ大騒ぎで。
あれって大変なんだな、デッサンの練習とか。受かったから良かったけど。
斎藤も美大とか、受けるのか?」
藤原君は普通に話をしてくれます。
そうか、お姉様が……。
だから、こういう人種に免疫があるのだな。
ボクは緊張で言葉を出す事が叶わず、ただ首を縦にふりました。
美大は、元々受けるつもりだったのです。
「そっか。頑張れよ」
「あ、ありがとうございます……」
「うん。じゃあな」
藤原君は、にこりと笑って先に行ってしまいました。