はじめてを、おしえて。
いや、皆忙しいのだ。仕方がない。
ボクは仕方なく、自分の作品にとりかかります。
キャンバスをイーゼルにセットし、スケッチブックを広げました。
もちろん、この前の藤原くんのスケッチです。
それを見ながら、コンテで下書きをしていくと、彼女達の方から視線が戻ってきたのに気づきました。
ふとそちらを振り向くと、彼女達はまた視線を逸らせます。
いったい、なんだというのだ。
不愉快になったボクは、彼女たちを無視し、下書きに集中しました。
「お嬢さん方、真剣にやってるー?」
突然、隣の準備室から声が聞こえました。
姿を現したのは、顧問の美術教師です。
彼は見た目は男で間違いないですが、完全なるオネエでした。
彼もそれを認め、生徒ももう慣れていました。