はじめてを、おしえて。
ああ、そういうことか。
彼女たちはボクがオタクを辞め、普通の人になったと思っているのだ。
だから、ボクが初めてメイクをしたときも、微妙なリアクションだったのです。
仲間が一人、減ったと思ったのでしょう。
しかしボクはオタクをやめた覚えもなければ、これからもオタクであり続ける彼女たちをバカにしたこともありません。
心の中でも、そんな風に思ったことはありません。
「ボクは、あなたたちを見下した覚えはありません」
はっきりと言いましたが、すぐに反論されます。
「良かったら、皆もやってみない?
そう言ったのは、あなたよ、斉藤殿」
「……!…あれは、」
「自分は綺麗になったのよ、あなたたちもやってみなさいよ。
──私たちには、そう聞こえたわ」