はじめてを、おしえて。
「情けねえ顔。どうしたんだよ?」
師匠の声が優しい。
先輩も、優しい。
思わず涙が出そうになります。
「おーい、泣くなよ。
俺がいじめたみたいだろ」
「す、すみません……人の情けが心に染みて」
「はあ……どっか、移動するか」
師匠は周りを見てそう言います。
気づけば、ヤンキーとオタクという珍しい組み合わせのせいか、周りの視線がボクたちに集中していました。
ずず、と鼻をすすり、師匠についていこうとすると、
「おい」
突然、手首を何者かにつかまれてしまいました。