はじめてを、おしえて。
一歩前進
夏休みまで、あと三日。
あれからというもの、ボクは美術部に行くたび、彼女たちにまめに話しかけました。
「昨日のアニメ、見た?」とか、「今週のジャ○プ見た?」とか。
彼女たちから反応はなく、心はすでにボキボキでした。
でも、ボクはまだオタクなのだということを信じてもらいたくて、何度もトライ。
そのたびに、彼女たちの心の結界に阻まれ、跳ね返されていました。
「はあ……」
ボクはとぼとぼと、学校帰りの道を一人で歩いていました。
今日は、印刷所に頼んでいた同人誌ができあがる日です。
コミケへの搬入は、車を持っている別のお姉さまがしてくれるのですが、ボクはできあがりを早くチェックしたかったのです。
そのため、ボクはいつもの帰り道とは違うルートを歩んでいました。