はじめてを、おしえて。
それにしても、やはり幸運なんて続かないものだな。
藤原君に出会い、里美先輩と晴人師匠に出会い、ボクの日常は幸運続きでした。
誤って眉毛を失ったことはあるけれども。
そんなことを考えながらぼんやりと歩いていると、前方に見覚えのある人を見つけました。
ここは住宅街。
ある家の前で、自分と同じ学校の制服を着た男女が立ち話をしています。
その女子の方が、見覚えのある人でした。
「あ……!」
ボクはとっさに、電柱の影に隠れました。
その女子は、美術部でかつては仲間だった腐女子だったのです。
おとなしくて、あまり自分からは話さない人でした。
「ふお……っ!?」
遠くから見ているだけなので会話の内容はわかりません。
しかし、その男女がお友達以上の親密な関係であることは確かでした。