はじめてを、おしえて。
大好きです
かくして……。
ボクは夏休み、何故かお城にいます。
お城といえど、西洋の森の奥不覚にある、お姫様がいるあのお城ではありません。
ばりばりの日本製のお城です。
しかも昔から残っているものではなく、戦時中に火事で消失されたもののレプリカ。
正真正銘、昭和生まれのいんちきなお城です。
いいのです、それでもいいのです。
隣には、藤原くんがいるのですから。
「あっちだ」
彼はにこにこと笑っています。
何故、初デートがお城なのかというと……。
どこへ行くか全く決められないボクに、藤原くんが提案してくれたからです。
「斉藤、城好き?」
そう聞かれたとき、ボクはファンタジー漫画で出てくる西洋のお城を思い浮かべました。