はじめてを、おしえて。


「日傘邪魔なら閉じとけよ」



藤原くんが悪気なく言います。



「嫌です」



オタクは基本、家にこもっているから、肌は白くてキメ細やか。


ボクはそれだけは、密かに誇りを持っていたのです。


だから、この肌の白さだけは守り抜かねば。



「じゃ、貸せよ。

さっきから、目ぇ突かれそうで怖い」



藤原くんはそういうと、さっとボクの手から日傘を取り上げました。


そして自分の手でそれを持ち、ボクの周りにに日陰ができるように傾けてくれるのです。



「あわわ、そうまでしなくとも!

たたみます、たたみますから!」


「ん?別にいいけど?

こんなん、持ってるうちに入んねーよ」



藤原くんは笑って、日傘を返そうとはしませんでした。


執事みたい!!


ボクはスーツの藤原くんを想像して、鼻血が出そうになりました。

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