はじめてを、おしえて。


「何で、って……わかんね。

だけど……斉藤の絵を描く真剣な顔が、可愛いと思った。

最近ますます可愛くなって、強くなって……

誰かに盗られるかもと思ったら、すげー焦った。

特にあのヤンキー師匠と斉藤が仲良さそうにしてるとき、すげームカついたんだ。

この前謝ったときはよくわかんなかったんだけどさ、

結局俺はお前が好きなんだ。

……こんな説明じゃ萌えないか?」


「も、も、萌えというか激萌えです……!!」



好きだって……。


他人様に、好きだなんて、初めて言われた……。


ボクの目は、たちまち涙をためて。


藤原君の顔がぼやけてしまいます。



「泣くなよ」


「む、無理、嬉しすぎるんだもん……」



やがて、おぅ、おぅ、とオットセイのような嗚咽がボクの喉からもれました。


しかし、涙が止まらないのです。


藤原君は、ボクの頭を優しくなでました。



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