はじめてを、おしえて。


「良いじゃないですか。

ボクなんか、♪みっちゃんミチミチ♪……」


「バカ、やめろ」



はっ、なんとはしたない歌を歌いそうになったのでしょう。


止めてくれて、良かった。



「じゃあ、みちる」


「はい、いっくん」


「……これからよろしく頼む」


「…………押忍!」



体育会系の挨拶に、そのまま返すと。


藤原君は、バカ、と笑って。


足元に落ちていた日傘を拾い、周りからボクたちの姿が見えないようにして。


そっと、触れるだけのキスを、してくれました。





< 199 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop