はじめてを、おしえて。
いよいよ文化祭です。
ボクは一筆一筆魂を注入するように描いた油彩を、美術部のブースに出品していました。
順番で係を決め、今はボクと理香さんでブースの番人をしています。
お客さんは油彩や彫刻など、一般的な美術作品は真剣に見てくれるけれども、オタクがボードにコピックで描いたイラストは素通り。
むしろ、指をさして笑う人までいました。
展示だけでは人が集まらず、閑散とすることは目に見えていたので、
ボクたちはオネエ先生の案で、ちまちまと、ステンドグラスの工芸品を作りました。
小物入れとか、一輪挿しとか。
部員の家族らしい人や、知らないおばさんや、たまに生徒がちらほらと来て、それらは順調に売れていきます。
大量に残ったらどうしようと思っていたのですが、大丈夫なようです。
ボクたちはほっと胸をなでおろしていました。