はじめてを、おしえて。


そういえば、理香さんはどうなのだろう。


中学の時からおつきあいをしているなら、そういうことを済ませていても不思議はない。


里美先輩もそうだ。


先輩は、何も怖い事はないと言ってくれた。


好きな人に触れられるのは、幸せな事なのだと。


わかります。理屈は、わかります。


胸を触られたことは、まあ、いいです。不可抗力でしたし。


でも、それ以上は、まだどうしても恐ろしいのです。


どうやって、この恐怖を克服したら良いのだろう。


わからないまま、係の時間は過ぎていきました。


そろそろ交代というところで、次の係の部員が現れます。


彼女たちは、市川さんの取り巻きなので、ボクと理香さんは少し緊張しました。


しかし、彼女たちはとても意外な言葉を口にします。



「お疲れ様」


「あ、お疲れ様です!!」



なんと、今までシカトだったのに、突然普通に挨拶をしてくれたのです。


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