はじめてを、おしえて。
理香さんも驚いた顔をしていました。
「大丈夫?私たちに話しかけたりして」
「うん、大丈夫。あの人いま、文芸部の係だから。
あっちでもこういうの置いて、迷惑がられてるよ」
彼女たちは冷たい視線を、市川さんの個人的商品に落としました。
「こんなの、売れるわけないのにね」
「でも全然減ってないと、また八つ当たりされるよ?」
「じゃあ、あなた買う?」
「えー……前も買わされたし、ラミカなんか何枚もいらない」
ボクは愕然とします。
いつも市川さんと一緒にボクを無視していた彼女たちは、次々に罵詈雑言を吐き出しはじめました。
理香さんは、小さくため息をつきます。
おそらく、彼女たちが自分と同じように不満を持っていることに気づいていたのでしょう。