はじめてを、おしえて。


「それにさ、そう思うんならみちるに謝ったら?

無視してたことなあなあにして、またぬるま湯で群れようってわけ?

私はそういうの、無理」



理香さんはいつの間にかボクを名前で呼ぶようになっていました。


じーんと胸が熱くなります。


この人は今まで口数が少なかっただけで、本当はしっかりした人だったのです。



「な、なによ、彼氏がいるからって調子に乗ってさ……」


「彼氏は関係ない。

普通の会話ならいつでもするよ。

でも、群れになって誰かをハブにするのは大嫌い」



理香さんがはっきり言うと、彼女たちはもごもごとしていましたが……


やがて、小さな声でボクに「ごめんね」と言ってくれました。



「みちる、どうする?許す?」


「そんなの……もう大丈夫です。

自然にしましょう、お互いに」


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