はじめてを、おしえて。
市川さんは、持っていた漫画を机に叩きつけました。
なんてことをするのでしょう。漫画が可哀想です。
「私が一人だろうと、お主には関係なかろう!!
それとも何だ、私を笑いにきたのか!?」
市川さんは、一生懸命怒った顔をしていますが……。
ボクにはそれが、泣き顔に見えました。
きっと、彼女は、文芸部でも浮いてしまっているのです。
思えば、当然。自業自得です。
仲間にまで無差別攻撃を仕掛けてきたのは、市川さん本人なのですから。
「笑いにきたって、何でそう思うのですか?」
ボクは聞いてみました。
「それではあなたは自分のことを、惨めな立場だと自覚していることになりますが、間違いありませんか」
「…………!」