はじめてを、おしえて。
市川さんの顔が歪んでいきます。
怒りではなく、悲しみに……。
「……誰も、私をわかってくれないのだ。
わたしはただ、部の秩序を保とうとしただけ。
浮かれている輩は、創作の邪魔になる」
「それならば、ちょっと注意してねと優しく言えば、済むことではありませんか」
「どうしてだ。どうして私が責められねばならんのだ」
「それは……あなたが、人を傷つけたからです」
ボクの言葉に、市川さんは顔を強張らせました。
「あなたが周りの人を大事にしないから、周りもあなたのことを、大事にしてくれないのです」
「…………」
「ボクはいじめとか、ハブとかが嫌いです。
だから、皆があなたを一人にしても、ボクはあなたに話しかけます。
たとえ、迷惑だろうと。
覚悟していてください。
あなたをひとりぼっちには、させませんから」