はじめてを、おしえて。


ボクは自分のお弁当に、視線を移しました。


ママが作ってくれた、大好きなハンバーグが入ったお弁当。


途端にそれが、色褪せて見えてしまいました。


ボクは……。


このままずーっと非リア充として、何のドラマもなく、

一生漫画とアニメとゲームで過ごすのだろうか……。


自分が、ああやって、誰かに愛される様子が、想像もつかない。


それ以前に、お友達もいないのに。


………………。



……ママ、ごめんなさい。


何だか食欲がわきません……。


お弁当のフタを閉じようとした時。


ふわ、とボクの上から影が降ってきました。



「食わねぇの?」


「どわぁ!!?」



その影を落とした主は……。


幻でしょうか。


その人は、藤原君、でした。

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