はじめてを、おしえて。
見上げると、そこには。
知らないおじさんがいました。
おじさんはスーツを着ています。
ボクのパパと同じくらいだな。
のんきに、そう思っていたら……。
「……いくら?」
「はい?」
「おじょうちゃんは、いくらなの?」
イクラ?
誰がオレンジ色の魚卵に見える?……って、違います。
「あの……すみません、売ってません」
このおじさんは、ダメな大人。鬼畜です。
ボクは、さとりました。
さっきから噴水の周りには、やけに若い女子が多い事よなぁ、と思っていたのです。
全員がそうではないでしょうが、きっと彼女達は、お小遣いを得るため、身売りをしているのです。
ここは、その交渉の場として有名なのでしょう。
だからおじさんは、ためらわず、ボクに声をかけてきたのです――。