はじめてを、おしえて。


「……いっくんは、特別」


「みちる……」


「いっくんは、ボクが初めて好きになった男の子だから」



キミが、初めて。



初めて、教えてくれた。



信用できる人間が、この世にいる事も。



自転車の後ろに乗せてもらうドキドキも。



オタクだからといって、蔑まれない安心感も。



自分や他人と向き合っていく勇気も。



人を好きになる幸せも。



触れるだけの、キスも。



全部、キミが教えてくれたのです。



「だから、いっくんだけは、触っても良いの――わたしに」



いっくんは、驚いたように猫の目を見開いて。



「……バカ……あんま、煽るな」



と、わたしにキスをしてくれました。


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