はじめてを、おしえて。
水筒からお茶を注ぎ、藤原君に差し出すと、彼は猫の目を丸くします。
「いいのか?」
「はい」
「悪いな、お茶まで」
藤原君は、ずず、とお茶を飲んで息を吐きました。
なんだか、その様子を見ていたら。
胸のモヤが、すうっとなくなっていくのを感じました。
気持ちの良い人だなぁ。
ボクは自然と、微笑んでいました。
「斎藤、いつもここで昼食ってんのか?」
「はぁ、大体」
「どーりで……。
見つからないわけだ」
見つからない?
意味がわからなくて、見返すと。
藤原君は、真剣な顔をしていました。